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漢方薬方  〜茯苓飲・ブクリョウイン〜

茯苓
白朮
人参
生姜
橘皮枳実

茯苓飲・ブクリョウイン −金匱要略・外台−
薬味構成
茯苓白朮人参生姜橘皮枳実

 橘皮(陳皮)枳実生姜湯に人参、白朮、茯苓(四君子湯去甘草)を加えた処方とみなされます。

適応 慢性胃炎 胃下垂症 胃アトニー症 胃拡張
胆石症 小児消化不良 胃酸過多症 食欲不振
病位
太陰病

虚実
虚証

十二臓腑配当


方意
●脾胃の気滞による上腹部膨満感、腹痛
●脾胃の水毒による嘔吐、食欲不振
に対する方剤です。

目標
 
胃の中に水分が停滞しているため膨満感があり、自然に水が上がってこれを口から吐き、あるいはいったん食べた食べ物を牛のように反芻してしまう方に用います。
 この時、尿利の減少や心悸亢進を伴う方にも用いる場合があります。また、食欲不振、悪心、胃痛などがあることもあり、尿利が減少して足に軽い浮腫がおこることがある方にも効果的です。
 この証の方は体質は虚弱ですが、体力の低下はそれほど甚だしくない方が多いです。
 空腹感があっても、食べると胃部が苦しいとか、倦怠感がひどくなるという方もいます。

 原典には「外台の茯苓飲は、心胸中に停痰宿水(胃内停水)あり、自ら水を吐出してのち、心胸間に虚気満ちて(胃内の空気で)食すること能わざるを治す。痰気(水飲)を消し能く食せしむ」とあります。

 朝食暮吐というように、いつまでも食が胃に滞留しているものが多いようです。

お薬の飲み方
■湯剤の場合、温めてお飲み下さい。
■粉、エキス剤の場合、できるだけお湯でお飲み下さい。

症例 胃アトニー症/36歳・男性

 学生時代までは、スポーツもいろいろとやり、食事量も多かった。しかし大学へ行く頃から運動もほとんどすることがなく、食事の量も目だって減ってきた。卒業してから就職すると、運動をする機械はいっそう少なくなり、仕事で神経をすり減らすことばかり多くなって、体がすっかりやせて、胃アトニー症になった。
 少し食べ過ぎても胃が張り、疲れると腰背部の細腰のあたりが張って痛む。
 患者は元来の体格はよく、筋肉質であるが、肉付きはあまり多くなく、やや痩方である。体の筋肉は硬く、脈は緩で特別な所見がない。腹部は全体にやや軟弱で、両側の腹直筋が拘攣し、その上部と肋骨弓との交点あたりは特に抵抗が強く胸脇苦満と考えられる。また、心下部には、心水音があって、胃内停水が認められる。
 以上の様な状態なので四逆散を用いたが疲れやすいというので、四逆散茯苓と土鼈甲を加えた解労散を投与した。
 この薬を飲んでいると、食欲も出るし、腰背の痛みも起こらない。そして心下部振水音が減弱して非常に具合がよかった。
 ところが夏の無理が積もってか、その秋、急に具合が悪くなり、食欲が減り、食事を少しとっても胃が張って苦しく、その上食べたものが自然に上がってきて、
無意識に牛の反芻のようなことをやっている。しかしそれは吐き気を伴うものではない。
 また腰背の痛みが再発した。診察すると、ほかに代わったことがなかったが腹診によって、心下部の
腹水音が驚くほど著明になっていた。それはちょうど、水を半分ぐらい入れた1升瓶を振っているようだった。
 そこで茯苓飲にて転方したところ、1週間後には反芻することがなくなった。更に1週間たつと、腰背の痛みもほとんど訴えなくなった。振水音も、その後次第に減少した。

備考
 本方の生姜は八百屋のひね生姜を用いると効き目が良いようです。


参考文献  出典1) 漢方診療医典 大塚敬節
矢数道明
清水藤太郎 著
出典2) 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
出典3) 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
出典4) 漢方治療百話第1〜3集 矢数道明 著
出典5) 腹證奇覧 稲葉克文礼
和久田寅叔虎 著
出典6) 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
出典7) 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
出典8) 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
出典9) 漢方診療30年 大塚敬節 著
出典10) 皇漢医学 湯本求真 著
出典11) 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
出典12) 類聚方広義 吉益東洞 著



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