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漢方薬方  〜大黄牡丹皮湯・ダイオウボタンピトウ〜

【腹証奇覧・大黄牡丹皮湯の証】

大黄
牡丹皮
桃仁
瓜子
芒硝

大黄牡丹皮湯・ダイオウボタンピトウ −金匱要略−
薬味構成
大黄牡丹皮桃仁瓜子芒硝

適応 虫垂炎 肛門周囲炎 結腸炎 直腸炎 赤痢
痔疾 子宮および付属器の炎症 骨盤腹膜炎 横痃
(そけい部リンパ腺炎)
淋毒性副睾丸炎
腎盂炎 尿管結石 膀胱炎 盲腸周囲炎 潰瘍性大腸炎
月経困難症 皮膚炎 淋疾
病位
陽明病

虚実
実証

十二臓腑配当
心包・三焦

方意
●古血による下腹部の抵抗、圧痛
●裏の実証としての便秘、腹満
●時に下焦の熱証による発熱、熱感、充血、発赤
に対する方剤です。


目標
 体力が充実して元気があるもので、古血の腹証を呈し、下半身に炎症化膿があって、発熱、疼痛などの症状を呈し、特に自覚症状が激しく、便秘の傾向がある方に用います。下腹部、特に右側に圧痛のある腹証に用いれば奏効するといわれています。
 下腹部にしこりがあって、触ると痛い。小便はよく出るけれど下腹が痛いから小便をすればひびく方に。ずっと熱が続いて汗をかく方にも用います。(腸に化膿症があるのが原因)
 また、中耳炎の初期で、まだ、化膿性炎症が進んでいない時期に用います。

お薬の飲み方
■粉薬はできるだけお湯でお飲み下さい。
■煎じ薬は温めてお飲みください。


症例1 潰瘍性大腸炎/40歳代・男性

 数年前、直腸胃炎と言われていると言って来店された方がいらっしゃった。いつでも下腹に、猛烈な痛みがあり、しばしば大便に血液が混じって出る。数年来方々の大病院にかかったが少しも治らず、自然治癒を待つより仕方がないと言われていると訴えた。
 この患者は、左下腹に圧痛のある抵抗がわずかに触れた。これに大黄牡丹皮湯を投与し、約2週間で下腹痛がほとんど消失した。
 このときの効果には、私の方が驚いたくらいだが、患者はなぜかまもなく来なくなったので、遠隔成績はよく分からない。

症例2 外痔核/40歳代・男性

 ある朝起きてみると、校門の近くがひどく痛い。そっと触れてみると、明らかな外痔核が出ていて、ちょっと触っても飛び上がるほど痛かったとの事。一応、紫雲膏を塗って、その日は起居を静かにしてすごしたとの事。しかし、翌日ますます痛みがひどくなったとのことで、漢方薬を飲んでみようと思われたとの事。
 そこで、まず乙字湯をお出しした。しかし、痛みがあまり消えなかった。痔の急痛によいという麻杏甘石湯なども考えたが、身体下部の炎症だからと言うことで大黄牡丹皮湯をお出しした。
 大黄は1.5g入れて1日分を煎じ、3等分して午後から2回のみ、1回分は翌日に残してもらった。また就寝前に紫雲膏を患部に塗ってもらうことにした。
 翌朝起きたとき、驚いたことにあのひどかった痛みが大部分去っていたとの事。そしてそれまで数日の間快痛しなかった朝の便通が、下痢にもならず気持ちよく通じたとの事。
 しかしその後、午前中に2回、軽く腹が痛んで便通があったとのこと。このときも、少し軟便になった程度で下痢はなかったらしい。
 そこで、その日は大黄牡丹皮湯を1回分だけ飲み、後は乙字湯を服用していただいた。これで翌日は全く痔の痛みが消失したと言う。
 こういう芸当は、西洋のお薬ではちょっと体験できないことではないかと思われる。

備考
 かなり強い駆オ血剤です。桃核承気湯桂枝茯苓丸に比べて、化膿性の炎症が明らかであり、自・他覚症状が激しい方に対応します。
 金匱要略の原文には「時時発熱」とあります。これは「ときどき発熱」ではなく、持続的な発熱を意味します。
 泌尿器疾患に応用する場合、利尿剤と併用するとよいでしょう。四苓湯合方がよいでしょう。
 前立腺肥大に八味丸を使うことが有名ですが、本方との併用がより効果を期待できます。(大黄、芒硝の分量を加減する)


参考文献  出典1) 漢方診療医典 大塚敬節
矢数道明
清水藤太郎 著
出典2) 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
出典3) 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
出典4) 漢方治療百話第1〜3集 矢数道明 著
出典5) 腹證奇覧 稲葉克文礼
和久田寅叔虎 著
出典6) 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
出典7) 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
出典8) 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
出典9) 漢方診療30年 大塚敬節 著
出典10) 皇漢医学 湯本求真 著
出典11) 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
出典12) 類聚方広義 吉益東洞 著



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