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漢方薬方 〜越婢加半夏湯・エッピカハンゲトウ〜

麻黄
石膏
乾生姜
大棗
甘草
半夏

越婢加半夏湯・エッピカハンゲトウ −金匱要略−
薬味構成
麻黄石膏乾生姜大棗甘草半夏

適応 気管支喘息 気管支炎 肺炎 小児百日咳 ジフテリア 肺気腫
病位
少陽病

虚実
実証から虚実中間

十二臓腑配当
膀胱

方意
●肺の水毒と上焦の熱証による激しい喘咳、乾嘔、ほてり
に対する方剤です。

目標
 越婢湯証で
嘔吐するもので加えて、哮喘が何日も治らず、痰がますますひどくなり、目が腫れ、鼻翼が広がって人相が悪くなってしまった方に用います。
 小児の百日咳の時の咳などで乾姜の煎じたものを用いて効果のないものによい場合があります。

お薬の飲み方
■粉薬はできるだけお湯でお飲み下さい。
■煎じ薬は温めてお飲みください。

症例 越婢加半夏湯と小青竜湯の鑑別/医学救弊論

 医学救弊論には、『1人の老婦人が喘咳があり、息が苦しくて安臥できず起坐呼吸の状態になった。そのとき、小青竜湯石膏で治ったが、翌年また再発した。そこでまた前の処方を与えたが、ほとんど30日になっても喘咳が止まらなかった。
 再び診察してみたが、やはり前の処方の証のようにみえた。しかし今度はこの処方で少しも効果がない。そこで、越婢加半夏湯を用いたところ、喘咳が非常に少なくなり、横になって寝られるようになった。
 この二つの処方は、喘咳を直す主剤である。しかし働きは異なり、
小青竜湯は心下に水気があるものを治し、越婢加半夏湯はもっぱら肺腫を治すものである。』とある。
 このように越婢加半夏湯と小青竜湯の証は良く似ている。
 このことを知らなかったために治療の効果が得られなかった例がある。
 患者は、49歳の男性。約三年前から咳が治らない。咳は発作的に激しく出て、痰が切れると一時は鎮まる。そのとき呼吸も苦しくなるが、ネオフィリンを注射すると絡になる。痰は泡の多い唾液のような痰で、量が多くて夜間コップに1杯位溜まると言う。また月の末頃決まって38度ぐらいの発熱があるという。
 背丈の高い、筋肉の硬そうな人で中肉である。顔色は悪く、脈は小細数であるが、毎日ネオフィリンを6〜8錠服用しているというので、数脈はその影響と思われる。腹証は、両側の腹直筋が硬く張り、ことに上部で緊張している。下腹部は正中線の付近の力が抜けている。
 この患者に小青竜湯を投与すると、夜間の咳が減り、5時間ぐらいは睡眠が取れるようになった。また、痰の量が半分以下に減った。しかし咳はすっかりはなくならず、かつ毎日昼頃には発作が同じように出た。この発作は、ネオフィリンをあらかじめ飲んでおくと非常に軽くてすむという。
 一度、来局中にその発作が出てきた。それは、”オーオー”というような呼吸音を伴って、咳がしきりに出る。咳そのものは強くないが、いかにも苦しそうな息遣いと喘鳴が聞こえる。これが、今考えると哮喘というものであったであろうと思われる。
 約半年間小青竜湯を主として、時々小柴胡湯厚朴杏仁香蘇散麻杏甘石湯などを1〜2週間投じてみたが、症状はそれ以上はかばかしくよくならなかった。
 そこで、どう考えてみても小青竜湯証と思われるのに、これが駄目なのは、あるいは陰証なのかもしれない。それなら苓甘姜味辛夏仁湯かと考え、その処方に転方した。しかし、2週間ほど用いたところまったく効果がなかったらしく、患者はそれきり来店しなくなった。
 これは、気管支拡張症とともに肺気腫の傾向があるとも言われていたそうであるが、あるいは越婢加半夏湯の症ではなかったかと、今になって考えている。

備考
越婢湯に半夏を加えたものです。越婢加半夏湯証と小青竜湯証は似ています。


参考文献  出典1) 漢方診療医典 大塚敬節
矢数道明
清水藤太郎 著
出典2) 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
出典3) 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
出典4) 漢方治療百話第1〜3集 矢数道明 著
出典5) 腹證奇覧 稲葉克文礼
和久田寅叔虎 著
出典6) 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
出典7) 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
出典8) 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
出典9) 漢方診療30年 大塚敬節 著
出典10) 皇漢医学 湯本求真 著
出典11) 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
出典12) 類聚方広義 吉益東洞 著



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