|
呉茱萸湯・ゴシュユトウ −傷寒論・金匱要略− |
| 薬味構成 |
呉茱萸、人参、大棗、生姜
|
| 適応 |
偏頭痛 |
吃逆 |
嘔吐 |
急性吐瀉病 |
霍乱 |
| 胃下垂症 |
胃アトニー症 |
癲癇 |
子癇 |
|
| 病位 |
太陰病
|
| 虚実 |
虚証
|
| 十二臓腑配当 |
心
|
| 方意 |
●脾胃の水毒の動揺による頭冷痛・嘔吐
●脾胃の虚証による食欲不振・胃腸虚弱
●寒証による顏色不良・手足の冷えなど
に対する方剤です。
|
| 目標 |
激しい発作性頭痛で嘔吐を伴う方、嘔吐したり、唾液をはいたり、下痢をしたりする方、に用います。
呉茱萸湯が合う方の頭痛は偏頭痛の方が多く、そのとき必ずといってよいほど肩こりを伴います。その肩こりは、耳の後ろからこめかみの所に表れ、下から差し込んでくるようなものです。
また、呉茱萸湯は胃がもたれ、足が冷たく、のぼせ症で、金時さんのような赤い顏をしている頭痛に効くといわれています。このような顏色の特徴は、苓桂味甘湯や通脉四逆湯などにみられるように血圧が高かったり、脳に充血を起こしているときの顔面紅潮や、便秘実熱による瀉心湯証とは異なります。
|
| お薬の飲み方 |
■粉薬はできるだけお湯でお飲み下さい。
■煎じ薬は温めてお飲みください。
|
| 症例 |
頑固な神経症/33歳・女性・未婚 |
神経症のある方で、どんな処方を与えても帰って具合が悪いといって毎日のように訪れていた。
その女性は見るからに神経質そうで、しかも疑い深そうな態度であった。その痩せ方も相当なもので、不自然な態度とあいまって、いかにもごつごつした人柄のように見えた。愁訴をたずねても、はじめはとりつく島も無いような、そっけない答え方だった。しかし、いろいろ話し合っているうちに、辛いことや、病気の経過などを、細大もらさず語りだした。その訴えは尽きることの無いようであった。
患者の語ったことを整理すると以下のようになる。
【発病以来の経過】
約三年前、下宿先で南京虫に悩まされ、アパートを変えたが又同じ虫が出て夜眠られず、すっかり神経過敏になってしまった。その頃、たまたま胃腸を壊して胸もたれや胸焼けが起こり、更に下痢を起こした。下痢はなかなか止まらず、そのためすっかり痩せた上、少しも眠れなくなった。
いろいろな大病院にかかったり、入院したりもしたが、慢性腸炎、血管神経症、胃下垂、神経症などいろいろな診断が付けられ、種々治療を受けたがよくならず、そのうち下痢はいつの間にか治った。
【主訴】
不眠、胃部で水の音がして食欲が無く、食事すると頭がボーっとする、偏頭痛、具合が悪いとき爪が割れる、疲れやすく、入浴すると特につかれ、疲れると眩暈する、腹部に動悸を感じる、月経不順
などであった。
そこで呉茱萸湯を飲ませた。驚いたことに2日後に来院したときには、非常に元気になって、頭痛がすっかり取れたばかりでなく、お腹から下半身にかけてもすっかり気分がよくなったということである。その後、しばらくお薬を飲んでいただいた。
|
| 備考 |
呉茱萸湯証の方は体質でいうと裏に寒飲がある状態です。裏とは体内のことです。寒飲とは水分が停滞し、かつ冷えている状態を指します。
例えば、夏にカキ氷を急いで食べると、こめかみあたりがキューっと痛くなることがありますがこれが一時的な寒飲の状態です。呉茱萸湯の合う方はこのような状態が長く続いているような感覚です。
嘔吐が主で頭痛が従の場合も用います。普通は吐いてしまうとスッキリしますが、呉茱萸湯の場合、吐いた後ますます胸苦しくjなります。全く頭痛のない場合もあり、この場合は強い悪心で吐物は少ないようです。
一度に服用するとすぐ吐いてしまうことがあります。なめるように、ごく少量ずつのめば納まります。納まると吐き気は止まります。
|