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漢方薬方  〜加味逍遙散・カミショウヨウサン〜

当帰
芍薬
白朮
茯苓
甘草
牡丹皮
山梔子
柴胡
生姜
薄荷

加味逍遙散・カミショウヨウサン −和剤局方・寿世保元−
薬味構成
当帰芍薬白朮茯苓柴胡甘草牡丹皮山梔子生姜薄荷


適応 更年期障害 血の道症 月経不順 流産や人工中絶
および卵管結紮後
に起こる
諸神経症状
不妊症
結核初期症状 尿道炎 膀胱炎 帯下 産後口内炎
湿疹 指掌角皮症 肝硬変症 慢性肝炎 疳癪持ち
便秘症 冷え症 虚弱体質 原因不明の微熱 神経性発熱
月経困難 肝斑 黒皮症 蕁麻疹
病位
少陽病

虚実
虚実中間から虚証

十二臓腑配当
心・胆

方意
●胸脇の熱証による発作性の灼熱感・胸脇苦満・不定愁訴・感情不安定などの精神症状
●オ血による月経異常・のぼせ・冷え
に対する方剤です。女性に使う場合がほとんどです。

●胃腸虚弱で消化力が弱く、空腹にならず、食欲がなくて太りたくても太れない方に使うこともあります。女性で、その胃腸症状を大変気に病んでいる方に。大抵便秘があり、加味逍遙散で便通がよくなる場合が多いようです。
便秘と下痢を繰り返す方は下痢が止まって便通が良くなるようです。

目標
 虚弱な体質の婦人が、手足が冷えやすいのに、
時々全身が熱くなり、よく肩が凝り、疲れやすく頭痛頭重感眩暈心悸亢進(動悸)、不眠などを訴えて、精神不安、憂うつ感などの精神神経症状があり、あるいは微熱が続き、大抵の場合は月経異常を伴う方に用います。
(神経症状か器質的症状かはっきりしない時は安静時、就寝中の動悸を尋ねる。安静時、就寝中の動悸は不安の表現で、神経性の心悸亢進、歩いたり、階段を昇ってひどい場合は器質的な心臓病の場合がある)
 月経異常としては、月経不順、月経寡少、暗赤色の血痕やコーヒー残渣様の経血が下るものなどがあげられます。
 この証の方はやせ方の婦人が多いですが中には肥満型の方もいます。しかし太っていても、筋肉は軟弱でいわゆる水ぶとりのような体型の方です。

 初めて診察室へ入ってきた時の態度や顔つきでも加味逍遙散証は見分けられます。不安そうな態度や顏、憂鬱な顏、疑わしそうな顏、はきはきしない言葉つきなどです。初めはしゃべりたがらない態度でも、次第に話始め、こちらが黙っているとしゃべりが尽きない方もいます。自分の辛さ苦しさを一つ残らず話そうとするようです。また、紙に症状を書いてくる患者も多いようです。女性の場合は加味逍遙散をまず考え、柴胡加竜骨牡蠣湯女神散人参湯なども考慮します。
 「あなた、自分で辛い症状があるでしょう?」「身体のことが気になるでしょう?」という問いかけに対する答えがポイント。

お薬の飲み方
■エキス剤できるだけお湯でお飲み下さい。
■煎じ薬は温めておのみください。


症例 ヒステリー/37歳・女性 −漢方処方・応用の実際より引用−

 患者は上逆、不安、心悸亢進、意識障害を訴え、11年前に人工中絶のため掻爬手術を2回うけた。
するとその後、上衝、めまいなどがおきた。 しかしこれらの症状は間もなく治った。

 ついで10年前、卵管結紮の手術をうけたところ、その2年後から月経過少となり結婚前には1週間くらいあった月経が1日しかみられなくなった。さらにその1年後から上衝や体のふるえ、めまい、腰痛、不眠、手のしびれ感などがおこり肩背がひどくこり疲れやすく、しばしば不安になって気が狂いそうな気持ちになった。女性ホルモンの注射をうけると生き返ったように楽になったが最近はそれも効果がなくなった。

 現在、体格中等で肉づきやや肥満型で筋肉は軟弱でいわゆる水ふとり型、体質は風邪を引きやすくのぼせ性で疲れやすい理学的診断上は著変がない。

 漢方的には脈沈にして右やや弦、腹部は心下部に抵抗圧痛があり下腹が他覚的に冷たい
性格温和だが、小心、敏感、ものごとを気にしやすく、心配性である。
加味逍遙散を投与したところ1ヵ月後に非常に好転し月経時に興奮状態になることがなくなった。
6ヶ月頃には月経血は正常になり月経期間も2〜3日間は月経があるようになった。
 この患者は約10ヶ月の治療で10年来の本病がすっかりよくなった。

備考
血の道の良薬として神経質な婦人のいろいろな神経的訴えに用いられます。
逍遙散に山梔子、柴胡を加えたものです。逍遙散はその名の通り、逍遙性の熱がある時に用いられます。これは古方でいう少陽病の時期で、虚証です。茯苓があることから水毒を兼ねていることが考えられます。加味逍遙散はこれに牡丹皮梔子を加えたものですから、更にオ血を去る梔子の効果があると思われます。


参考文献  出典1) 漢方診療医典 大塚敬節
矢数道明
清水藤太郎 著
出典2) 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
出典3) 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
出典4) 漢方治療百話第1〜3集 矢数道明 著
出典5) 腹證奇覧 稲葉克文礼
和久田寅叔虎 著
出典6) 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
出典7) 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
出典8) 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
出典9) 漢方診療30年 大塚敬節 著
出典10) 皇漢医学 湯本求真 著
出典11) 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
出典12) 類聚方広義 吉益東洞 著



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