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漢方薬方  〜帰脾湯・キヒトウ〜

黄耆
当帰
人参
白朮
茯苓
酸棗仁
竜眼肉
甘草
生姜
木香
遠志
大棗

帰脾湯・キヒトウ -済生方-
薬味構成
黄耆
当帰人参白朮茯苓酸棗仁竜眼肉甘草生姜木香遠志大棗

適応 腸出血 子宮出血 胃潰瘍 血尿 仮性白血病
再生不良性貧血 バンチ病 健忘症 不眠症 神経性心悸亢進症
食欲不振 月経不順 ヒステリー 神経衰弱 遺精
慢性淋疾 瘰れきの潰瘍が瘻になったもの うつ病 血小板減少性紫斑病
病位
太陰病

虚実
虚証

十二臓腑配当
心・小腸

方意
●気による精神症状による不眠・感情不安定・心悸亢進・健忘
●脾胃の虚証による胃腸虚弱
●虚証・寒証による貧血・顏色不良・疲労倦怠
に対する方剤です。

目標
 体力の低下した虚弱な人が、顏色が悪く、貧血気味で、精神不安、心悸亢進、健忘(物忘れ)があり、夜はよく眠れず、取り越し苦労ばかりし、あるいは発熱、盗汗があり、四肢がだるくなり、便秘気味の方に用います。
婦人では月経不順をともなう方がいらっしゃいます。
また、考え事や心配事が多く、あるいは下血、吐血などの出血がある方にも用います。

お薬の飲み方
必ずお湯でお飲み下さい。

症状 抑うつ反応/62歳・男性 −漢方処方・応用の実際より引用−

 3ヶ月ばかり前、当時10歳になる末の息子を急病で亡くした。
その直後は夢中で気づかなかったが日が経つにつれて「かわいそうなことした」と始終考えるようになった。1ヵ月後には食欲は全くなく痩せたのが目立ち気分はいつも憂鬱で何をしてもうわの空になり仕事が手につかなくなった。頭はぼんやりして考えがまとまらず夜は少しも眠れず仕事もできないので勤めを休むようになった。
 最近、だいぶ気持ちがおちついたので勤めに出るようになったが身体や足がだるく疲れやすく、時々心臓が止まりそうな感じがして不安になる。

 希望がなく物事にたいする興感が少しも湧かない。酒をのむと、一時元気になるがあとで反って具合がわるくなるというようなことを訴えた。
診察すると顏色がやや蒼白く潤いがない。身長は大きい方で肉付きは中ぐらい筋肉も適度に緊張している。脈は沈細でやや遅、腹部は肉づきよく、弾力もあって、腹証には特徴がない。
 しかし腰背部志室に圧痛が著明である。以上のように、身体症状としては特記すべきことがなく、ただ盗汗があるということだけが気づかれた。

 そこで、身体症状から証をきめることができないので思慮多くして脾を傷った例と考え、帰脾湯加香附子黄連を投与した。黄連は、不安、不眠、などを鎮めるために加えた。
1週間後、気分爽快になり、食欲が出て次第に眠れるようになった。ただその間に一度、不安発作がおきたという。
2週間後、気分はすっかり安定し、食欲も進み、体重も回復したといい全く元気になった。
その後1,2ヶ月の間、上腕痛や胃腸障害などを訴えてときどき来院したが精神症状は完全に治り、現在でも元気に働いている。


備考
補中益気湯や十全大補湯などの補剤が胸にもたれるという方に有効です。


参考文献  出典1) 漢方診療医典 大塚敬節
矢数道明
清水藤太郎 著
出典2) 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
出典3) 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
出典4) 漢方治療百話第1〜3集 矢数道明 著
出典5) 腹證奇覧 稲葉克文礼
和久田寅叔虎 著
出典6) 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
出典7) 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
出典8) 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
出典9) 漢方診療30年 大塚敬節 著
出典10) 皇漢医学 湯本求真 著
出典11) 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
出典12) 類聚方広義 吉益東洞 著




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