東洋医学の中の糸練功 総論
糸練功で診るのは、身体の中を流れる「気」の流れ、経気です。
人間の身体は、病になると経気の流れに変化が生じます。糸練功では、正経十二経、奇経八脈の経気の流れと特徴を診ていきます。それが漢方の証の判断の大きな目安となります。
肝炎の患者さんの身体を糸練功で診るとき、肝炎を診るのではなく、肝臓から発せられる経気の変化を診ます。風邪の患者さんを診るとき、風邪を診るのではなく風邪の影響により変化した経気の流れを診ています。同じ風邪でも人により経気の流れは異なります。
経気の流れを正常にすると、原因である風邪が治るのが東洋医学の理屈です。「肝炎だからこの治療法、この薬」「風邪だからこの薬」と診断治療する西洋医学とは根本的に診断方法も考え方も異なります。
例を挙げますと、右肋骨下部の痛みを訴えられる患者さんを診るとします。
右肋骨下部には肝臓や胆嚢の臓器や様々な経絡が流れています。そこには各臓器や経絡を流れる様々な経気があります。
それら経気の流れを改善する漢方の証を探していきます。
そして、いくつかの漢方証が選択されます。そのどれを使うか迷う所です。最も可能性の高い薬方から試すこととなります。
例えば
柴胡桂枝湯加芍薬で右肋骨下部の痛みが改善したら、患者さんの訴えは肋間神経痛が原因だったと推測できます。
或いは
茯苓飲合
四逆散で改善したら胆石が原因だったと推測されます。
何故なら右胸腹部の痛みの場合、柴胡桂枝湯加芍薬は肋間神経痛に多用され、茯苓飲合四逆散は胆石に多用されることが経験的に解っているからです。
漢方医学は、診断が病名ではなく、証の診断(病態を改善するのは○○という漢方薬が適合と判断)が特徴です。
そのため胆嚢炎に多用される薬方が適方となると、背理法的に胆嚢炎が原因でないかと推測できます。同様に頭痛でも
釣藤散証と判断されると脳動脈硬化が原因と推測され、
呉茱萸湯証と判断されると脳の血管拡張が原因(東洋医学的原因は胃寒)と推測できます。
糸練功では東洋医学の診断(証の判定)を行い、どの薬方が適応か判断します。その適応薬方から考え西洋医学的な病態をある程度推測できます。
糸練功は経気を診るため、他の経気と見間違わないためにも、正確な病名は1つの大きな情報となります。また皮膚病などは症状の酷い正確な箇所(出来れば写真)などが必要となります。指の痛みなども「右手親指第2関節の痛み」等の正確な情報が必要となります。
※右上図 小建中湯の図
小建中湯の服用により改善される病態
西洋医学的には、肝炎・肝硬変、胃潰瘍、虚弱体質、紫斑病、夜尿症などに適用される。
学会・研究会における糸練功関係の発表
糸練功の開発と発展
2005年11月 伝統漢方研究会第2回全国大会 (日本・福岡国際会議場)
医学の中の糸練功
2006年11月 伝統漢方研究会第3回全国大会 (日本・横浜シンポジア)
尋常性白斑に対する糸練功の展望
2007年11月 伝統漢方研究会第4回全国大会 (日本・有馬向陽閣)
湯液加減方と鍼灸加減方に対する間中四分画の可能性
2007年11月 伝統漢方研究会第4回全国大会 (日本・有馬向陽閣)
糸練功をとる上での注意点
2008年11月 伝統漢方研究会第5回全国大会 (日本・二日市温泉大丸別荘)
薬方・薬味の気血水と糸練功に関して
2009年11月 伝統漢方研究会第6回全国大会 (日本・東京ベイホテル東急)
傷寒論薬方の気血水配当
2010年12月 傷寒論学会 経方臨床運用 (中国・海南省中医薬学会 海南省中医院)
入江FTを漢方へ糸練功の開発、故入江正先生へ御報告
2010年12月 東亜医学協会 (日本・漢方の臨床)
糸練功と労宮の強度の関係
2011年11月 伝統漢方研究会第8回全国大会 (日本・兵庫県淡路夢舞台国際会議場)